ショッピファイについて

2020年10月〜12月、それと2021年7月~2024年9月にショッピファイ(Shopify)を使っていた。個人的には副業レベルでは使わないのが良策と感じたのでその理由を述べてみたい。

まずは結論から

  • 基本料金が最低の金額のプランであるベーシックで毎月33.00ドル(当初は29.00ドル)となっており、これ単体で見るとそれほどは高くない。一目で見て分かりやすい、操作しやすい、ページ作成の自由度が高いインターフェイスという点で捉えると間違いなく非常に秀逸なネットショッププラットフォームである。なお、料金プランは2023年1月以降はスタンダートで92.00ドル、プレミアムで399.00ドルとなっており、いずれのプランも約1.3倍の値上がりである。
  • ただし、必要な機能を付与させるアプリ(ワードプレスでいうところのプラグイン)の大半が有料であり、SEO的にページをブラッシュさせようとすると有料のアプリで賄わざるを得ない状況となり、結果的にアプリ費が高くついてしまう。実際にSEO面を充実させようと有用なアプリを多数導入したところ、月間のショッピファイ利用料がかなりの高額だった月もあった。
  • アプリにまとまった金額の投資したのでそれ相応の費用対効果があったかと言えば全くそうではなかった。むしろマイナスとなってしまい、惨憺たる結果でしかなかったのが実情。アプリで毎月高額なサブスクリプションとなってしまうのであれば、同等の機能を持った無料のプラグインが充実したワードプレスのWoo Commerceでも実現できるものと思われる。となると、毎月最低39.00ドルを支払ってまでショッピファイを維持するだけのアドバンテージやメリットが感じられない。むしろワードプレスでオンラインショップを構築した方がコスト的には年間のサーバー費用とドメイン費用だけで済むので、遥かに安価なのは明らか。
  • 求の通貨単位がドル建てであり、コロナ以降の昨今の円安進行下では値上げ後の価格である基本料金33.00ドルを2024年8月の平均レート1ドル=158.14円で換算すると5,219円にもなってしまう。ちなみに1年前の2023年8月の場合は4,778円(1ドル=135.14円)、2022年8月の場合は3,919円(1ドル=135.14円、ただしベーシックでの基本料金は29.00ドル)。
    コロナ直前の2020年1月の場合、ドルのレートが109.18円で換算すると3,166円であったので(29ドルの場合)、当然のことながらここ4~5年で恐ろしく値上がりしている。

ショッピファイとは?

ショッピファイとは簡単に言えば自分自身のオンラインストアを作るためのツール=ウェブページサービスである。

ウェブ作成と言えば、90年代後半のインターネット黎明期を経験している私のような古い人間にとってはローカルのPCでホームページビルダーのようなHP作成ソフトでhtml形式などでページを作成・構築・アップロードするのを思い浮かべてしまうが、そうではなくオンラインですべて完結してしまうというウェブページだ。この点の使い勝手はワードプレスのオンラインストア用コンテンツであるWoo Commerceとほぼ同じである。また、ショッピファイは一見するとワードプレスのようなCMS(コンテンツマネジメントシステム)的な要素が強いが、eコマースに特化したサービス=オンラインストアのページ作成に必要な機能を実装したプラットフォームを提供するというのがその唯一にして最大の特徴と言える。

ちなみにショッピファイはカナダのオタワに拠点を置いており、2004年に「スノーデビル」という社名で設立、全世界175か国以上で170万以上に店舗で利用され、2023年時点ではカナダで7番目に大きい企業とのこと。また、創業当初からこのようなサービスを行っていたわけではなく、創業者トビアス・リュトケが創業パートナーであるダニエル・ウェイナンドやスコット・レイクとともにスノーボード用品のネットショップを起業し、ウェブアプリケーションフレームワークのルビーオンレイルズ(Ruby on Rails)にて開発したネットショップ環境が始まりとされる。2006年にはビジネスをスノーボード用品販売からeコマースプラットフォームに切り替えて、社名もショッピファイに変えている。

ショッピファイがサービスとして提供していることは、平たく言えば楽天市場やヤフーショッピングと同じくネットショップのテナント貸しであるが、ショッピファイの方がより自分自身でのショップサイトの構築と整備を求められる。もっと具体的に言えば、ショッピングモール内のテナント貸しが楽天市場やヤフーショッピングで、ショッピファイが更地を貸すのでそこに上物だったり電気や水道などの必要なインフラは自分で準備するというような感覚に非常に近い。その借地の賃料=基本料金を毎月請求するのと同時に、サブスクでの各種アプリ使用料と販売手数料の徴収というのがショッピファイのビジネスモデルである。

ここまでで分かるようにゼロの更地から起こすので、ある程度はウェブページを構築するにあたってhtmlの知識があったほうが良いと思われる。もちろんショッピファイの商品ページには専用エディタが実装されているのでその知識がなくても特に大きな問題はないが、商品ページや商品を各種ページを作成する際にははhtmlを理解しておいたほうがよりこだわったサイト構築に、もしくはページの完成度を高めるのに大いに役立つのは言うまでもない。

ショッピファイのアプリ

豊富なアプリで最適化されたネットストアを構築しようというのが、ショッピファイおよびそのアプリの設計思想である。ただし、ここで気を付けておくべきことはショッピファイアプリで使い勝手のいいもの、有用なもの、本当に必要な機能を備えたものはほぼほぼ有料と考えたほうが無難なのが実情であり、アプリによっては毎月の使用料金が非常に高額である。数百円のものから一万円近くのものなど様々な種類のアプリが存在する。先述のワードプレスではWoo Commerceで構築したネットストアもしくはそれ以外の目的のサイトでSEOを行うために無料の有用なプラグイン(ここでいう「プラグイン」とはショッピファイのアプリと同義である)で事足りるという事実を踏まえると、ショッピファイの高額アプリや単体では安価だけど色々と組み合わせて積み上げると高額になるようなアプリ群は本当に費用対効果があるのだろうかと思ってしまう。

ものの試しに購入して数か月試しで、多い時でSEO対策用のアプリを20本程度入れていたとは思うのだが、30,000円前後投資していたことがあった。もちろんこれをペイできるだけの売り上げがあるのであれば問題ないのは言うまでもない。しかし、実際にはショッピファイでの売り上げはほとんど事故のような絶望的レベルだったので、費用対効果は極めて低かったか、全く無かったと感じている。結果的にはこれ以上続けても何の意味もないと判断して、3か月で30,000円分のアプリすべてのサブスクリプションを解約した。実際に過去のアクセス数推移を見ても、果たしてSEOアプリの意味はあったのだろうかとただただ疑問に思う他なかったのが正直な気持ちである。

ちなみこれまでに使用していたアプリは以下の通り。

HTML Meta Keyword Builder EX
$1.99 / 月
metaタグのひとつであるメタキーワードをページに付与する機能がショッピファイではデフォルトでは備わっていないためにメタキーワードを新たに加えるためのアプリ。
※日本語非対応
Smart Seo Boost
$12.95 / 月
商品ページのメタタグを最適化して、検索エンジンのランキングを上げ、オーガニックトラフィックを増やすためのアプリ。
※日本語非対応
SEO Manager | SEO Optimizer
$9.00 / 月
Google での検索ランキングを向上させるために各種機能を備え、SEOを自動化・最適化するアプリ。
※日本語非対応
Google Shopping Feed by AdNabu
注文数が10件未満の店舗は無料。
$4.99 / 月+1 か月あたり 10 件を超える注文ごとに 6 セント
Googleショッピング用に商品情報のフィードの自動生成および最適化を行うアプリ。
※日本語対応
GoSEO: SEO Products Optimizer
$14.00 / 月
商品ページのSEOスコアを分析し、改善・最適化するアプリ。
※日本語非対応
Swift ‑ Page Speed Optimizer
ベーシック$9.00 / 月(プレミアム$19.00、プレミアムPLUS$29.00)
商品ページのSEOスコアおよびページスピードの最適化するアプリ。
※日本語対応
SPO ‑ SEO Product Optimizer
ベーシック$15.99 / 月
SNS、モバイル表示、検索エンジン向けのストアのSEOを最適化するアプリ。
※日本語対応
The AMP app
ベーシック$9.99 / 月
Googleでの上位ランキングが実現できるよう、ページスピードを向上させるSEOアプリ。
※日本語非対応
Shogun ‑ Landing Page Builder
ベーシック$39.00 / 月
ストア内の商品ページ、ブログページ、ランディングページを自由なデザインで作成できるページエディターアプリ。
※日本語非対応
PRO Tabs ‑ Products Tabs Maker
ベーシック$3.39 / 月
商品ページにて商品詳細情報をタブやアコーディオン表示させるためのアプリ。
※日本語非対応
TinyIMG SEO & Image Optimizer
ベーシック$14.00 / 月(毎月1,500枚まで)
商品写真などを圧縮することによってページスピードを向上させるSEO施策のアプリ。
※日本語対応
Canonical Tag URL Wizard
$49.00(買い切り)
商品ページ、ページ、記事、コレクションページのカノニカルタグを編集できるアプリ
※日本語対応
SEO Expert Pro ‑ SEO Optimizer
無料
ストアのSEOの分析結果に基づき、SEOスコアやJSON LDからメタタグやタイトルの改善できるアプリ。
※日本語対応

アプリだけではなく、基本料金についての話にもなるのだが、毎月4,000円以内でSEOに強いプラットフォームを持てばという軽い気持ちで始めたものの、途中から料金体系が変わり値段が変わったり(ドル請求なので円安で料金が上昇しつづけるという事実もあるが)、ほぼプラグインの入っていない丸腰の状態では当然生産性は非常に低く、なおかつ有料のプラグインを導入しても何の効果も生まれなかったので、極めてコストパフォーマンスが悪いと感じた。であれば、より拡張性が高い上にサーバー代とドメイン代だけで済む自前のネットストアのほうがより安価で効果的かつ合理的であると思っている。
実際に価格比較してみると(1ドル=150.00円換算の想定)、

ショッピファイ 1か月4,950円*12か月 59,400円
自前のサイト
(エックスサーバー)
年間サーバー代 13,200円
ドメイン代 1,650円
合計 14,850円
差額 44,550円

というようになるのだが、サラリーマンのような人間では副業で取り扱う金額の中でやはり年間で約4.5万円の差は大きい。もちろん、商品やサービスによっては、または日本国内に限定するなど商材を販売する対象の国によっては、十分に売り上げでペイできるのでショッピファイで手軽に作ったほうがいいというケースもあるだろう。ただ、私のように「日本国内向けのせどり商品における在庫金額の改善=在庫消化を目的として海外向け販売も考えた」といった場合ではコスパが非常に悪く、非常に悪い言い方をすれば、毎月特に大きな成果も得られないまま、サブスクという形で一定の金額を垂れ流しているので、生産性が全くない投資である。

ちなみにドル建ての請求であるが、各月の実勢レートに合わせて円換算すると以下の通りである。
※月平均レートは七十七銀行の米ドル対円相場(仲値)一覧表を参考にした。

請求月 1ドル(月平均)= 請求額 ドル換算
2021年9月 110.08円 3,192円
2021年10月 113.06円 3,279円
2021年11月 114.19円 3,312円
2021年12月 113.88円 3,303円
2022年1月 114.90円 3,332円
2022年2月 115.24円 3,342円
2022年3月 118.43円 3,434円
2022年4月 125.98円 3,653円
2022年5月 128.88円 3,738円
2022年6月 133.71円 3,878円
2022年7月 136.79円 3,967円
2022年8月 135.14円 3,919円
2022年9月 143.08円 4,149円
2022年10月 146.99円 4,263円
2022年11月 142.62円 4,136円
2022年12月 135.19円 4,461円
2023年1月 130.68円 4,312円
2023年2月 132.69円 4,379円
2023年3月 133.96円 4,421円
2023年4月 133.36円 4,401円
2023年5月 137.51円 4,538円
2023年6月 141.04円 4,654円
2023年7月 141.21円 4,660円
2023年8月 144.78円 4,778円
2023年9月 147.60円 4,871円
2023年10月 149.61円 4,937円
2023年11月 150.10円 4,953円
2023年12月 143.95円 4,750円
2024年1月 146.11円 4,822円
2024年2月 149.46円 4,932円
2024年3月 149.75円 4,942円
2024年4月 153.63円 5,070円
2024年5月 156.22円 5,155円
2024年6月 157.93円 5,212円
2024年7月 158.14円 5,219円