2020年末頃からショッピー(Shopee/蝦皮)を海外販売用のチャンネルとして使用しているので、感想や意見について述べてみたい。

 

ショッピーとは?

ショッピーとは2015年にシンガポールで誕生したネットモールであり、シンガポール以外にも台湾・インドネシア・マレーシア・フィリピン・ベトナム・タイといった東南アジア諸国向けのプラットフォームを持つ他、メキシコ・ブラジル向けにもEコマース事業を展開している。過去には2021年10月からインドでもプラットフォーム展開を開始していたようだが、開始からわずか半年で将来性の不確実性を理由に撤退したとのこと。ショッピーの主力地域はやはり東南アジアであり、アリババ傘下のラザダ(LAZADA)やインドネシア資本であるトコペディア(TOKOPEDIA)といった競合他社を相手に同地域各地で急成長している。

 

使用してみての感想

メリット

  • 東南アジアに販路がない日本人が同地域向けにネット販売をするのであれば気軽かつ大きな元手も不要で始められる。

 

デメリット

  • 日本語対応可能なショッピーの専用窓口(https://shopee.jp/)があるが、はっきり言って対応が非常に悪い。
  • せっかく多数出品しても一定期間中に一定の売り上げが立たなければ、出品数が強制的に減らされる。
  • 送料を設定できない。
  • 同じ商品であっても、プラットフォームによってはできない場合がある。
  • とにかく覚えなければいけないルールが多すぎる。
  • 値引き要求が多く、煩わしい。

 

メリットとデメリットの詳細

メリット

気軽に始められる

東南アジア商圏の一強であるラザダでオンライン販売を行うには、個人名義での出店は基本的に不可であり、法人名義での登録が必要となる。要は登記を行って会社法人としての登録のみが有効であり(法務局に個人事業主として開業届を提出する程度では不可)、個人が副業で手軽に始められるものではない。一方でショッピーの場合は、法人名義も特に大きな元手も用意することなく、申請を行って審査をパスすればすぐにシンガポール・台湾・タイ・マレーシア・フィリピンの各国用のショッピーに出店が可能となる。ただし、アマゾンセラーのようなグローバルアカウントのような統一アカウントで同一の商品を一つのコンソールから複数で同時に出品するわけではなく、各国のプラットフォームごとで商品を出品する必要がある。また、各国の法令によって、同じ商品でも出せる・出せないということが非常にはっきりしていることも念頭に入れておいた方が良い。

 

デメリット

日本側窓口スタッフの対応が非常に悪い

日本以外でヘルプデスクに問い合わせをしたことがなく、日本以外の状況を知らないので他国でのケースはどうなのかは知らないため、今回はショッピージャパンの対応窓口について述べさせていただく。ショッピージャパンのヘルプデスクとのやりとりは基本的にはメールでとなり、あちらからはほぼほぼテンプレの貼り付けでの回答となっており、物事に柔軟に対応しない&できない融通の利かなさが非常に目立つ。恐らくは、日本在住の外国人スタッフが対応しているものと思われる。あくまで想像なのだが、個人的経験から中華圏系の人間は基本的に物事に対してきめ細かだったり臨機応変な対応ができない印象があるので(とりわけ中国本土の中国人よりも台湾人においてその傾向が顕著に感じる)、紋切り型の回答しかできていない場合には中華圏系の可能性が高いように感じる。何かトラブルがあったときに日本人的な説明責任や論理的な説明を外国人のショッピースタッフ(特に中華圏系)に求めるのは、まず難しいと考えた方が良いであろう。こういったことから、どの外国人スタッフでも日本人セラーに対応できるように日本語での回答テンプレート集的なものがショッピー社内に存在するものと思われる(結果的にそれが紋切り型の対応を量産しているのだが)。良く言えばマニュアル通りであり、悪く言えば気を利かせてそれ以外の対応はできないということである。漢字や中国語がその性質上、いかに事細かに正確に伝えるかよりは、いかに最低限・最小の労力で伝えたいことを伝えるかがやや至上の命題のような部分があるので(時としてその「伝えたいこと」が的外れであることもあるが)、彼らにとってはテンプレで回答するのが非常に便利なやりかたであると思われるが、それは日本人から見れば一件一件丁寧に対応しておらず適当に対応していると映ってしまうのであろう。また、彼らにとって「模範解答」をすることが最適解と認識しているようにも感じる。

過去に適当な対応を受けた事例として次のようなことがあった。売り上げが立った後に国によっては日本国内で集荷してそれを仕向国に混載輸送することを求められるために、必ずポップアップウィンドウで集荷先住所が表示されるのだが、その住所に送ったものの受取拒否されてしまい商品が返送されてきてしまった。配送業者曰く、指定先住所の担当者に「ここはすでにショッピーの混載貨物の集積地点ではありません」と言われてしまったとのこと。事情を説明した上での返金を求めたのだが、いずれもショッピージャパン側からは拒否された。ショッピーの言い分として「指定先の住所が間違っている」ということで、その通達は以前にも行っていたとしているのだが、そもそもポップアップウィンドウには無効な住所を表示し続けているので、これはショッピーの瑕疵である。だが、「通達した」の一点張りで自分たちの非を一向に認めようとしない。なので、彼らの論理としては「勝手に無関係の場所に送ったのはそちらの責任」なので、送料を支払う気は一切ないために、返送時の送料は自己負担となってしまった。

一定数の日本人スタッフはショッピージャパンには存在するようで、出店後数か月間だけ日本人スタッフが対応してくれたことがあった。といっても、元々ショッピー出店に当たり、当初は韓国人スタッフが対応してくれていたが、物事の説明が要領を得ていない印象があった。出店まもなくしてトラブル発生時のショッピーとしての対応についてその韓国人スタッフから説明を受けておらず、このスタッフの説明が後付けの言い訳にしか聞こえず埒が明かなかったことから、説明がちゃんと対応できる人間を出してくれと要請したら、その上司か同僚と言うことでその日本人スタッフが以後は対応してくれるようになった。その後、何度かお世話にはなっているが、この日本人担当者もショッピーをその後間もなくに退職したようで、苦労の多い職場なのだろうなと想像してしまった。ショッピージャパン立ち上げ直後のカオスな状況だったのだろうし、多国籍な職場環境でなおさら足並みが揃いにくいということもあり、この日本人スタッフは耐え切れずに辞めてしまったのだと思う。

 

大量出品しても売れなければ出品数を減らされる

これはショッピー独自のシステムだと思うのだが、言うなればボクシングのチャンピオンがチャンピオンであり続けるには防衛を重ねなければならないというのと同じで、出店開始からある一定の期間内で売り上げ実績(オーダー数)を残していないと出品数制限がかかってしまう。私の実体験で言うと、ショッピー台湾で出店後に頑張って商品を990点アップしたのだが、なかなか売り上げを出せずに数か月後にアクティブな出品数が100点にまで減らされていた。手打ちで商品情報を一件一件アップしていった、せっかくの苦労が水の泡となってしまったので、さすがにこれはかなりきつかった。

逆に言うと、普通に継続的に売り上げを出していれば何の問題もないわけで、売り上げがちゃんと出ていれば出店当初の出品制限数を1,000個からそれ以上に増やすことが可能ということでもある。なので、ショッピーでの出品は闇雲に行うのではなく、何をいくらで販売するか、どのように販促をかけるかを戦略的に考えていく必要がある。個人的には、根本的に取り扱う商品が東南アジア各地でニーズがあるのかどうかを判断した上で出店の検討を進めたのが吉とは考えた。

 

 

送料設定の自由度が低い

ショッピーには大きく分けて、先述のようにセラーが日本国内の集積地点に送付して対象国現地に混載貨物で発送する方式と、セラーから購入者に直接発送する方式の二種類が存在する。前者はSLS(Shopee Logistics Service)と呼ばれ、シンガポール・フィリピン・マレーシア・台湾・ベトナム・タイのプラットフォームで利用可能である。後者はEMSなり国際郵便を使って購入者に直接発送するのであるが、直接発送は利用できる対象国には制限があり、原則としてほぼほぼSLSが強制的に使うことが前提の中で直接発送できる国が台湾・マレーシアだけと記憶している。

これも逆に言えばなのだが、毎週・毎月とコンスタントな物量で出荷する商品であれば、混載のほうが便利かと思われる。余程のことがない限りは、物流事故を保証できないという事態にはならないはずなので、それなりにコストを抑えるという意味での仕向地への混載便であり、使う人によっては格安で利便性の高い発送手段であると思う。

いずれにせよ、特にセラーによる直接発送の場合は、その送料を自分で決めることができないのが非常にボトルネックに感じてしまう。ebayをやっている人であれば共感できると思うのだが、実はebayは送料にそれなりに制約があって、例えばCDであれば送料の上限は20.00ドルまでと制限されており、それに近い感覚である。いや、むしろショッピーではすべてのセラーに対して低送料での発送をかなり強く(半ば強制的に)推奨している。そのため、EMSや国際郵便で20.00ドル以上足が出てしまう場合には最悪商品価格に上乗せすれば良いのだが、ショッピーの場合は値上げは確実に売り上げに影響するので、送料と商品価格のバランスをうまくとることも必要である。

 

同じ商品なのに他国のプラットフォームで販売できないケースがある

食品であれば対象国それぞれで食品輸入について独自の規制があるように(例えば、台湾ショッピーでは肉類は取扱不可)、マレーシアで出品できたのにシンガポールでは出品不可といったケースもあり得る。私の場合であれば、楽器用の小型製品(電子機器)がマレーシアでは問題なく対象品すべてが出品できたのに対して、どういう基準かよくわからないままシンガポールでは出品不可と判断されてほとんどが出品を取り下げられ、フィリピンでも似たようなケースが発生した。

これも当たり前のことなのだが、自分の取り扱う商品が販売予定国で販売禁止となっていないか、販売に関して何らかの規制が設けられていないかを出品前に事前に入念に調べておくべきである。上記の私のケースの場合は、「マレーシアでOKなのだから他の国でも問題ないはず」という先入観というか、「どう考えても問題ないでしょ、コレは」というパターンが一切当てはまった事例なので、想像しうるに電子機器なので基盤内にはんだ溶接が疑われるから環境規制の観点からNG判定だったり、中古の電子機器は政府の許可なしに流通させてはいけない、といった各国の事情があるのだと思われる。

また、以前にショッピーでは出店募集しているプラットフォームとしてインドネシアがあったのだが、元々インドネシア自体が輸入に関してまあまあ厳しい国ということもあってか、現在ショッピーでは新規出店者募集は停止しているという。現職でもインドネシアに自社の客先納品用サンプル品を国際郵便で送付した際に通関書類の不備で通関できないトラブルが発生したのを聞いたことがあり、この他にも元々インドネシアは規制がかなり細かく厳しいという話も様々なルートを聞いていた。インドネシアの輸入禁制品一覧をちらっと見てみたのだが、中には「中国文字又は中国語による雑誌、印刷物、レコード、録音テープ等の印刷物等」「名あて国以外の国で発行されたインドネシア語(地方語を含む。)の印刷物」「おうむ科の鳥の羽毛その他の部分」「反すう動物又は豚の毛、皮、肉その他の部分」といったものがリストアップされている。また、マレーシアでは禁制品のひとつに「銃や剣などの武器がついているフィギュア」があるとのこと。インドネシアのケースも、マレーシアのフィギュアの件も、おそらく宗教上の理由だったり、現地の環境や生態系の保護のためだったり、何らかの政治上の理由があったりするのだろう。それにしても、「銃や剣などの武器がついているフィギュア」が販売できないというのは驚きであり、何とも不思議である。艦隊これくしょんのフィギュアはほぼすべて不可と言うことになるし(砲台を美少女化した戦艦が身に着けているから)、仮に戦国無双や三国無双などの無双シリーズのフィギュアがあったとしたらキャラもガンプラもほぼほぼ全て武器を持っているだろうから不可ということになる。

 

覚えなければいけないセラールールが多すぎる

ショッピージャパンにはエデュケーションハブというページが存在し、そこからショッピー上での商品販売にあたり各種ルールを学んでいくという仕組みである。また、ショッピーの規約やルール変更時にはセラーに必ず通知メールが届くようになっている。まめにショッピーからのメールをチェックしていれば問題ないはだが、いかんせん覚えなければならないルールが多すぎて辟易してしまう。このあたりはもう少し直感的に管理画面を操作できるようにしてはよいのではないかと思う。これは国別に法令や規制があるので仕方がないとは思うのだが。また、先述のようにSLSで現地に発送となっている場合に、その発送先住所をショッピースタッフが間違えたり、かつその責任を負わないこともあるので、そもそも実はスタッフ自身がルールをきちんと把握・理解できていないのではないかと思ったりしてしまう。

 

値引き要求が多い

ショッピーには独特のチャット機能があり、直接的にユーザーからセラーに話しかけることのできるチャットボックスがある。私の知る限りでは、少なくとも中華圏社会には値引きという概念が強く定着しているので、このチャットボックスを利用して値引き交渉をしてくることが多々ある。これまでの経験から値引き交渉のパターンとしては、①ストレートに値引きを求める ②商品の詳細について質問してきた後に値引きを求めてくる の2種類があると思う。中華圏の文化なのでもちろんショッピー台湾ユーザーからの要求がダントツで多く、それと同じくらいのレベル感でフィリピンのユーザーから値引き要求が多いように感じた。フィリピンの場合は、なぜ台湾人なみに値引きを求めてくるのかの理由や文化的背景は分からないが、タイ・マレーシア・シンガポールでは両者のような露骨な値引き交渉を受けた経験はない。

 

ショッピー台湾で感じたこと

これまでにショッピー台湾での販売での経験、および台湾在住の友人からの情報で感じたことを述べてみたい。

 

なぜ値引き要求するのか?

上述の通り、ショッピー台湾ユーザーは中華圏系の商習慣もあって、当たり前のように堂々と値引き交渉してくる。とはいえ、ここでひとつ考えてみたい。不動産バブルが弾ける前の中国は誰もが知るように金の力でモノを言わしたかつての「爆買い」でお馴染みである。同じ中華系でありながら、中国人は言い値でモノを買うのに対して、なぜ台湾ユーザーはここまで値引き交渉に腐心するのかが気になったので、個人的に考察をしてみた。

結論から言うと、日本同様に「収入に対して、物価が高いから」である。台湾の大手求人サイト「人力銀行104」によると、2023年の台湾の平均年収は約333万円(69.4万元)だそうで、20年間で100万円程上昇しているという。日本の平均年収は約460万円なので日本とは約100万円以上の差が開いているものの、台湾では社会保険や税金が比較的安いので生活していく分には困らない程度だそうだ。

だが、現地の声として、台湾在住の友人が言うところによると、「共働きでないと生活がなりたたない」「物価が日本同様に上昇傾向にあり、とりわけ子供の教育費は相対的に高く感じる」のだそうだ。20年以上前に台湾に行った際には、物価は日本と比べると比較的安いと感じたのだが(特にレストランでの食事や、現地コンビニでの買い物)、現在はその当時の物価水準を維持できているわけでもなく、それからは物価上昇を続けたために、以前のような物価安のような状況は実感できないそうだ。「20年前のレストランでの食事した時の値段のままということはまず有り得ないし、ちょっとした小じゃれたところでワンプレートのランチを注文しようとしたら1,500円以内で食べれるかどうか」とのこと。

また、以前中国の福建省の厦門市(アモイ市、現在も台湾領=中華民国領である金門島からわずか2キロの距離しかない福建省の大都市のひとつ)で台湾人の青年ベンチャーを誘致し、現地行政(厦門市政府か中国政府)からの手厚い公的補助で事業をサポートするというようなドキュメンタリーをテレビで見たことがある。中国の不動産バブルがはじける2021年前後のものだったと記憶しているが、昨今よくニュースで取り上げられる台湾有事に関連して中国政府が様々な手法を用いて台湾の分断を図っているとされ、このベンチャー誘致も分断の一環であるとは思われ、この施策の背景にはやはり台湾経済が不安定であり将来も見通せず、若い世代にとってはまとまった収入が見込めない状況から、現在の台湾の経済政策に悲観的もしくは期待していないという事情があるようで、そのドキュメンタリーで取材を受けていた起業を志す台湾人青年のひとりも同様に自国経済にはもう望めないので一発逆転で明るい将来を掴むというようなニュアンスの発言をしていた。中国現地の公的支援を受けるための条件のひとつとしてSNSでそれなりにフォロワーがいて、そのSNSで厦門市のことを宣伝してくれることというのがあったのだが、明らかにハニートラップ的な罠であり、台湾内でもこのベンチャー支援に応じる台湾人の若者を憂慮する声もあるのだそう。

いずれにせよ、台湾人にとっては欲しくても「無い袖は振れない」のが実情であり、日本人のように多少は金銭的な余裕があるから嗜好品であっても支払える余地はそれなりにあるというわけではなく、最低限の生活費以外に捻出できる余地はないので、我慢するか、どうしても欲しければ一円でも安くして買えるよう値引き交渉を行うのが台湾人の感覚なのではないかと感じた。「安くて質が悪いか、高くて質が良いか」という究極の二択ではなく、「良いものを可能な限り安く絶対に買う」という欲張りな考えが基本的なマインドセットのようだ。

 

台湾人が好む「着払い」

「着払い」と書いたが、厳密に言うとショッピー台湾では「取貨後付款」という商品受取後に決済を行う着払いに類似した手段があり、これは現地では一般的であり、台湾人にかなり好まれているのだそう。ショッピー台湾のチャットボックスで台湾人から頻繁に「決済方法を取貨後付款にしてくれないか?」というような問い合わせがある。ショッピーでの決済は最終的にペイオニアに売上金額が振り込まれるというシステムであり、そもそも海外からの発送商品を着払い的な方法で決済するのは不可能なので、基本的にはこのような要求は基本的には応じていない。

ネットショッピングではクレジットカード決済ありきにも関わらず、台湾人はクレジットカードを作ることをあまり好んでいないのだろうか?と思い、考察をしてみた。調べてみたところ、台湾では日本のようにAPPLE PAYやLINE PAYが使われる場面が増えてきており、元々ITインフラが日本よりも進んでいた時期もあって(2000年代初頭~中盤)、電子取引自体も早くから導入されていたことからクレジットカードの普及率そのものは元々高いが、近年ではさらに進んでいるようである。その証拠に台湾の政府自体も2025年中にキャッシュレス決済の普及率を90%にまで高めようとしているとのこと。なお、現在のクレジットカードの普及率は76.7%程度とされている。

であれば、「クレジットカードの普及率が低いから『取貨後付款』が好まれる」という私の仮説は成り立たないわけで、このことを台湾在住の友人に問い合わせたら、実情として台湾では日本のように注文した商品が確実に自宅届くといった保証が100%というわけではないそうで、意外と物流事情が悪く、確実に手元に届く訳ではないから先払い方式ではなく着荷してから後払いが非常に好まれるそうだ。また、後述のように台湾各地にショッピストアが点在していて、そこで荷物を受け取り決済を行うこともできるという。もちろん、「取貨後付款」は必ずしもショップストアに限られたものではなくて、台湾の大手コンビニでも対応可能だそうだ。

ちなみに注文した商品が確実に届くかどうかという保証という観点で、面白い話がある。別の友人の妹がアメリカの企業に就職して現地に住んでおり、南米の郵便および物流事情も若干知っているようで、彼女曰く「南米に送った荷物が確実に届く保証もなし、南米から送る荷物が確実に国外に届く保証もない。なので、北米の人間も南米の人間も国際郵便物は半分は紛失する可能性があるという心づもりでいる」とのこと。アメリカ・メキシコ国境を越えて年間何万人も不法入国しているわけだが、あれはすべてメキシコ人というわけではなく、南米各国から徒歩で約1,200キロ歩いて希望を求めてアメリカを目指しているのが実態とのこと。というのも、基本的に南米のどこの国でも情勢不安に加えて、経済の状況も芳しくなく、政府上層部や一部の富裕層といった既得権益層が潤っているだけ富が公平に社会に配分されていないような有様で(南米でまだましなほうであるブラジルでも若干このような状況らしい)、国によってはほぼほぼ崩壊しているようだ。これは特にコロナの時に顕著で、ボリビアでは感染死亡者の急増で遺体の土葬もしくは火葬が間に合わず、町中に死体の納められた棺桶があふれていたそうだ。ただでさえ、ボリビアは南米でも貧しい国のひとつであるが、ボリビアだけでなく、南米の大多数が貧困国であり、アルゼンチンやベネズエラはかつてはそれぞれ農業大国・石油大国であったが、いまや失業率も高い貧困国となってしまっている。そのようなほぼほぼ崩壊したような社会であるから、現地に郵便を出すのも、現地から郵便を出すのも何らかのリスクを背負わなければならないということだろう。

なお、CNNで放映されたドキュメンタリーにもこの南米からの渡米移民と取り扱ったものがあって、なんとカリブ海の小国ハイチから赤ん坊の子供を連れて南米入りした若い夫婦が紹介されており、なぜハイチを抜け出したのかというインタビュワーの問いに「ハイチではとてもではないが豊かな生活ができず、貧しいまま希望もないまま生きるしかないから」というようなコメントをしていた。南米のどこの国も一応は郵便というシステムは一応は存在しているものの、途中で紛失したり、破損したりする可能性があり、郵便が正常に機能しているかといわれれば疑問符が付かざるを得ないのだろう。反対に言えば、それだけ日本の郵便事情も宅配便も優秀すぎて、それが当たり前のことだと我々が錯覚していることの証左であろう。

 

ショッピストアの存在

日本にはこのようなシステムが存在しないために日本人にはイマイチ理解しにくいかもしれない。言うなれば、楽天の本拠地がアメリカにあったとして、大半の販売者がアメリカに会社・倉庫・工場を持っているという過程で、楽天で何らかの商品を注文した商品が混載貨物で国際輸送を経て、ユーザーが指定した日本国内にある楽天のショップに届き、それを受け取るというような仕組みである。

このような仕組みの根底にあるのは物流費の削減=商品売価の低減=売上向上であると私は思っていて、理由はどうあれ一円でも安く購入したい台湾人が多数派なので、それを実現する手段が海外各地にあるショッピーの集積地点で注文商品を回収してからの台湾本土へのSLSによる混載輸送などだと思われる。商品1件1件に特有の認識番号(=注文番号)が割り当てられているので恐らく紛失するリスクは低いだろうし(といっても、想像するに現在のショッピーの管理状況では日本人から見たら貨物の紛失率は高いとは思われる)、混載貨物といっても恐らくはコンテナ1本を貸し切ってそこに集積した注文商品を詰めて輸送しているはずであろうから、ある程度は貨物の安全性を担保できて、かつ輸送費のコストダウンができているのだと思う。この注文番号があることによって注文商品のトレサービリティが確立されており、集積地点が一種のチェックポイント的な役割も果たしており、荷姿にあるバーコードで最新の商品の現在地をショッピーのシステム上にほぼリアルタイムでアップデートしている模様。そのため、セラーも購入者も一応は商品の輸送状況を確認できる。とは言え、出荷時・集積地・ストアの三地点しかステータスのフラグを立てる場所がないので、輸送中の状況や輸送リードタイムまでは詳細は把握することはできない。

また、友人曰く、コンビニ跡地にショッピーストアが居抜きでできることが多く、台湾のショッピーユーザーは郵便局兼コンビニ感覚でショッピストアに注文した商品を取りに行くのだという。商品も化粧品や日用品を海外の用品を買うユーザーが多数いるため、まさにアマゾンや楽天のような気軽さで使うのが一般的ではあるものの、海外からの輸入品とはいえ安くないと買わないというのが台湾人の消費者心理のようだ。

 

ショッピーとどう付き合うか?

シンガポール・台湾・タイ・マレーシア・フィリピン・ベトナムと東南アジア向けプラットフォームが用意されていることがショッピーの強みではあるが、その反面一定期間売り上げが立たなければ出品数制限がかかる。この特性から逆算していって、出店後にはジャンルを1つに絞るのではなく、複数の取り扱いジャンルを保有しておいて、鉄板商品というか常時注文の入りやすい商品というのを何でもいいので持っておくのが良さそうと感じた。

私の場合、ショッピーに出店した直後は(ショッピー台湾からはじめた)当時保有していた中古のゲーム・CD・攻略本をほぼすべて出品しており、日本での販売価格に若干利益を上乗せした形で出品していたので、上述の通りまず台湾の物価感覚から見たらまあまあ高価な嗜好品だったのではなかったのかのではと思う。また、基本的に「無くても生活できていける」商品であるし、趣味に金をかける感覚が日本とかなり異なっていることが想像されるほか(収入から考えての節約意識がかなり高い)、九州程度の国土の広さであることから台湾の人口は約2,300万人(2024年3月時点)であり、人口が約1億2,400万人(2024年3月時点)の日本と比べて市場の規模や消費者の母数が実はかなり小さく、その分市場としては台湾は実はそれほどブルーオーシャンではないのではと感じている。

もちろん、逆にマレーシアで約3,400万人、ベトナム約9,900万人、タイ約7,200万人、フィリピン約1億1,730万人で、新規出店できないもののインドネシアで約2億7,750万人となっており、それぞれのプラットフォームでそれなりの市場規模とその旨味というのはあるはずなので、出品商品選定を慎重に行って常時受注と出品数維持に努めた方が良さそうだ。