日本のAmazonのセラーアカウントを2011年頃に取得し、以降日本のAmazonセラーで細々と販売を行っていた。しかし、突如2023年にアカウントが停止し、2025年にアカウント再開まで約3年を要した。なぜアカウントが停止してしまったのか、その経緯と、停止からセラーアカウント復活までどのような対処を行ったのか解説してみたい。
2000年代前半から2010年代前半にかけて、一介の格闘家として精力的に活動してきた。しかし、厳しい現実に直面し、なかなか思うような結果を残せず、自分の能力に限界を感じるようになった。そして次第に、「所詮、これが自分の実力であり、そろそろ潮時なのだろうか」と考えるようになっていた。
加えて、プライベートでの人間関係がうまくいかなかったり、本業の仕事でもなかなかうまくいかなかったりして精神的に疲れていた。そのためにそれまでは週6でトレーニングをするぐらい打ち込んでいて、三度の飯より好きだった格闘技とは距離を置くようになった。
自分の中に確固として存在していたはずの情熱も、実際にはただの「無価値な存在意義」にすぎなかったのではないかと疑うようになり、砂浜に築いた砂の城がさざ波に洗われて徐々に崩れていくかのように、自分のアイデンティティーそのものが崩壊していったように感じた。
やがて、その感情は怒りへと変わり、その怒りはなぜか格闘技へと向かっていった。こうした経緯もあり、2011年の一時期には自暴自棄になっていたこともあった。「もう格闘技なんてどうでもいい」という一時的な気の迷いから、それまで打ち込んできた格闘技そのものを否定するようになり、収集してきた格闘技の技術書もすべて売り払ってしまおうと考えた。身の回りを整理するという意味も込めて、それらを売却することを思い立ったのである。
ただ、当時は副業的な感覚は一切なく、あくまでいらないものを処分して(=売却して)しまい小遣い稼ぎできればいいぐらいの感覚である。また、格闘技という絶対的に信奉していた価値観を喪失したことで、新たな環境に飛び込んで精神を充足させたいということもあり、要らないのであれば売ってしまって、自分の生活環境を変えてしまおうという思惑もあった。
2011年当時はメルカリもなく、確か楽天オークション(ラクマの前身とも言えるプラットフォーム)があったぐらいで、ネットで売買と言えば、ほぼヤフーオークション一強の時代だった。ちなみにメルカリのサービス開始は2013年7月である。また、今思い起こせば、ぐるぐるオークションという個人運営のオークションサイトもあったが、色々なトラブルにより2017年頃にサイト閉鎖となった模様。
当初ヤフーオークションから出品を開始したのだが、それ以外に有力な販売プラットフォームはないかということで調査し、そこで初めてAmazonセラーの存在を知るようになった。単純に販売する軒先がひとつでも増えれば売れる確率も増えて、売上も増やせるという考えていたので、まさに渡りに船の方策であった。
早速Amazonマーケットプレイスでセラー登録を行う。Amazon.co.jpとヤフーで商品登録を終えると、Amazon.co.jpかヤフーオークションのどちらかで必ず売れて不用品の売却も進んでいった。売上は飛び抜けてすごいわけではなかったが、手放したかった格闘技関係書籍の蔵書を徐々に減らしていけた。売却することでちょっとした臨時収入が入ってくるようになり、それはある意味で自分の日常生活の中でのちょっとしたモチベーションの向上にもなっていった。
今改めて思うと、出版不況が取り沙汰される昨今とは異なって2010年前後はスマホ普及の黎明期で、まだ本がそこそこ売れていた時期であった。なおかつサブスクのストリーミングサービスもほとんどなかったはずなので、DVDもまだまだ売れる時代だったと記憶している。2012年頃にゲオでDVDをレンタルしているので、今以上にDVDがメディアとして現役で機能していた時代だった。
いずれにせよ、格闘技の雑誌であったり、かなり昔の技術書であっても高値もしくは納得のいく価格で売れたので、それなりに満足のいく結果を得られたと当時は感じていた。
その後、結婚してからの新婚生活や育児で出費が増え、不用品も実家に保管してあったゲームソフト・ゲームソフトの取扱説明書・ゲーム攻略本の売却にまで拡大していく。それからほどなくして、結婚以降しばらく続けていた自動車のカタログ販売も、大量にあった在庫が尽きかけたタイミングでゲームソフト関連を中心に商材を切り替え、2014年頃から現在に続くせどり物販活動を継続することになる。メルカリも2016年頃に利用を開始したと記憶している。
やや低空飛行的にというか、わずかながらに蓄積していった在庫がある分だけ捌ければいいかなという感じで、とりあえず現状維持的に少量・少品種でせどりを数年続けていた。そんな中で、転機(?)が訪れる。2020年の世界的なコロナ禍である。
今となっては懐かしい話で、当時はソーシャルディスタンスといった、いわゆる「巣ごもり需要」が日本だけでなく、世界的に増加しつつあった。この巣ごもり需要のおかげでゲーム実況動画が流行り、これをきっかけに日本のゲームに対する世界的な需要も高まっていた。これは結果的に日本のゲームソフトの価格高騰にもつながっていったようで、この時に起きたレトロゲームのソフトやゲーム機の価格上昇は現在も続いているそうだ。
コロナ初期の2020年~2022年は基本的に在宅勤務であったため、時間だけは無駄にあった。貯まりつつあった在庫を捌いて、なおかつ売上につなげたいという思いがあったので、ヤフオク・メルカリ・Amazon.co.jp以外のプラットフォームで販売できないかと考え、本格的にプラットフォーム探しをするようになった。
調べたところ、前述のトップ3とも言えるプラットフォーム以外は正直なところあまり効果的ではなく、かつ日本国内については新しいものを探すのもあまり建設的でないと判断した。後日談ではあるが、かなり時間が経過した時点でラクマに試験的に出品したものの、やはりこれはヤフオク・メルカリ・Amazon.co.jpセラーほど効果的かつ有効なプラットフォームではないと個人的には感じた。
また、コロナ初期は中国バブルがはじける以前であり(中国のバブル崩壊は2021年12月の巨大不動産会社の恒大集団が債務不履行となったことが起因)、まだまだ中国人富裕層の日本製品への需要があったことから、ヤフオクやメルカリでは落札代行業者も活発に活動していた。そこから着想を得て、日本で売れないのであれば、海外に向けて販売してみてはどうかという発想に至った。
海外に目を向けると、eBayやShopeeといった海外向け販売プラットフォームの存在を知り、実際に利用を開始するとともに、海外のAmazonセラーについても改めて認識するようになった。
まず、eBayでアカウントを作成し、出品を開始した。当初は試験的な運用だったが、出品と販売を繰り返しながら試行錯誤を重ねることで、取り扱う商品の中で何が売れ筋となるのか、その傾向を徐々につかめるようになった。さらに、こうした分析を通じて商品ごとの需要や販売実績への理解を深め、各プラットフォームで何が売れるのかを比較・検討したうえで、自分なりの販売戦略を構築していった。
一方、Shopeeは東南アジアを中心に複数の国・地域で展開するECプラットフォームである。各国・地域のプラットフォームへの出店を検討するにあたり、現地の規制や販売上の制約を調べるとともに、どのような商品に需要があるのかを研究した。こうした情報を踏まえ、国・地域ごとの市場特性に応じて、どのプラットフォームで何を販売するかという販売計画を立てていった。
また、海外販売の取り組みに関連して、Shopifyを利用した独自のオンラインストアの構築にも着手した。しかし、運用を続ける中で、維持費などのコストに対して十分な費用対効果が得られないと判断し(コロナ後に急激な円安もあったので)、Shopifyからレンタルサーバーを利用する方式へと切り替えた。その後、サーバーにインストールしたWordPressおよびWoo Commerceを用いてオンラインストアを構築し、運営を移行した。
ここで、先述した「海外のAmazonセラーについて改めて認識するようになった」という点について、少し過去にさかのぼって説明したい。
実は、せどりを始めた初期の2011年頃、国内で不要になった商品をAmazon.co.jpセラーで販売していた際に、米国のAmazon.comの存在を知り、同サイトでの販売にも挑戦したことがあった。
しかし、日本国内で流通している書籍は、書名を入力しても出品候補として表示されないことが多く、ISBN(ほぼ国際規格化されている書籍の固有番号)を入力しても該当する商品が見つからないケースがほとんどだった。雑誌やムックについても同様で、候補検索で商品がヒットしないことが多かった。さらに、日本語での商品検索や出品情報の登録には制約があり、書名をローマ字やアルファベットで入力しても、期待する商品が候補として表示されないことが珍しくなかった。
その後、このアカウントは次第に利用しなくなり、長期間放置した状態となった。本人確認や税務情報の登録を行っていなかったことが影響したのか、あるいは別の理由によるものなのかは定かではないが、後になって米国Amazonのアカウントが無効化または削除されたようだと認識した。
また、当時何かのウェブサイトを経由して米国Amazonのアカウントを申請すると5,000円がプレゼントされるという案内を見かけ、海外送金サービスのPayoneer(ペイオニア)のアカウントも作成していた。しかし、こちらも後になってアカウントが閉鎖されてしまった。ちなみに実はPayoneeを現在Shopeeやebayでの決済で有効活用しているのだが、この閉鎖されたアカウントの復活は諦め、新たにアカウントを作り直した上での運用としている。
そして、コロナ禍を迎えた頃、改めて海外Amazonでの販売に目を向ける機会があり、そこでAmazonの「グローバルセリング」という仕組みを知った。これは、複数の国・地域のAmazonマーケットプレイスで販売するためのシステムであり、国際的な販売展開を支援する機能が用意されている。複数のマーケットプレイスを横断して販売を管理できるという点に関心を持ち、早速アカウントを作成した。ただし、これは後日談になるが、実際に利用してみると、少なくとも自分の取り扱う商材では複数の国・地域における販売状況やアカウントを一元的に管理できているという実感はほとんど得られなかった。
海外Amazonでの販売を開始するにあたり、まずアカウントの準備が必要となった。2011年に米国Amazonでの販売を試みた際に使用したアカウントは、当時の日本のAmazonセラーアカウントを含め、グローバルセリングで利用できなくなっていた。そのため、専用のEメールを新規作成した後に、グローバルセリング用のアカウントを新規に開設し、日本以外の各国・各地域のAmazonマーケットプレイスで販売できるようにした。
使い勝手は、基本的に日本のAmazonセラーセントラルと変わらなかった。ただし、前述のとおり、日本国内で販売されている商品を、そのまま海外のAmazonで販売できるとは限らない。そのため、商品によっては出品できないこともあり、歯がゆさを感じる場面も多かった。そして、言語の壁という問題もあった。
改めて冷静に考えてみると、日本国内で一般的に流通している商品を、そのまま海外で販売しようとすることには、さまざまな障壁がある。商品の需要だけでなく、各国の規制や販売条件・言語・流通事情なども考慮する必要があり、決して簡単なことではないのだ。
当初は、日本のアニメやゲームといったサブカルチャーを好む層が海外にも一定数存在するはずだと考え、書籍・CD・DVD・ゲームソフトなどの販売を計画していた。もちろん、そこには期待的な観測も含まれていた。
しかし、実際に海外販売を試みるなかで、こうした期待が必ずしも現実に即したものではないことが分かってきた。さらに、日本のサブカルチャーが海外で大人気だという一般的なイメージそのものについても、疑問を抱くようになった。日本のメディアが海外における一部の人気事例を切り取り、それを誇張して報道しているのではないか、と考えるようになったのである。
ここ10年ほど、来日した外国人が日本の文化や社会を絶賛する様子を紹介するテレビ番組が数多く放送されている。こうした番組と同じように、何らかの意図から日本を肯定的に評価する文脈がつくられ、「海外では日本文化が大人気だ」というイメージが強調されているのではないか、と感じることもあった。
例えば、2000年代前半にNHKで放送されていた「プロジェクトX」は、バブル崩壊後の日本経済の停滞を背景に自信を失いつつあった日本人を鼓舞する意図もあって制作・放送されたと聞いたことがある。こうした事例を踏まえると、「日本のサブカルチャーは海外で大人気だ」という言説についても、日本人の自尊心を満たすため、あるいは何らかの意図に基づいて、実態以上に誇張されている可能性があるのではないかと考えるようになった。
もちろん、フランスのように、日本のアニメをはじめとするサブカルチャーが広く受け入れられている国もある。しかし、フランス人全員が日本のサブカルチャーを好んでいるわけではない。特定の地域や年齢層、一部のファンの間で人気があることと、国全体で広く支持されていることは、区別して考える必要がある。
実際、日本の漫画やアニメを扱うフランスの大手老舗書店の中には、倒産した店舗もあるという。このような事例を知ると、日本のメディアが海外における日本文化の人気を報じる際、都合のよい事例を中心に取り上げ、実態を必ずしも正確に伝えていないのではないかと疑問を抱くこともある。一方で、こうした書店の倒産については、日本のメディアではあまり報道されていなかったように感じた。
もっとも、個別の書店の倒産だけで、フランスにおける日本のサブカルチャーの人気が衰えていると判断することはできない。メディア報道のあり方を考えるうえでも、人気を示す事例と、それとは異なる動きを示す事例の両方に目を向ける必要があるだろう。
閑話休題
海外Amazonでの販売を検討するにあたり、世界各地に展開するAmazonのマーケットプレイスに目を向けた。北米ではアメリカ・カナダ・メキシコ、ヨーロッパではイギリス・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン・オランダ・ポーランド・スウェーデン・ベルギー、アジア太平洋地域ではシンガポール・インド・オーストラリア、中東ではアラブ首長国連邦・サウジアラビアといった国にAmazonの販売プラットフォームが存在する。
これらのマーケットプレイスを活用して販売先を広げていけば、相応の利益を確保できるのではないかという目論見があった。
なお、トルコやブラジルにもAmazonのマーケットプレイスが存在するが、当時調べた限りでは、両国で販売するには現地での事業実態を証明する書類などが必要とされるようで、海外事業者にとって参入のハードルが高いことが容易に想像がつく。
また、エジプトやインドにもAmazonのマーケットプレイスが存在する。これらの国については、当時十分な情報を得られなかったものの、調査した範囲では現地事業者であることを示す書類などが必要になる可能性があるようだ。特にインドについては、現地法人の登録を証明する書類の提出が求められる模様。一方、エジプトでは法人登録証明書の提出が必須ではないように見受けられたものの、実際に出品するには必要書類を提出できる状態にしておくことが現実的のように感じた。
ひとまずは、自分の主要商材であるゲームソフトをアメリカのAmazonに出品0した。その上で、他国のAmazonでも同時に出品できるよう、当時「グローバル出品連携ツール」と呼ばれていた一括出品ページで設定を行った。これは、現在では「Build International Listings(BIL)」と呼ばれているようだ。
結論から言うと、アメリカ・カナダ・メキシコの北米市場ではゲームソフトをある程度出品できたものの、ヨーロッパではすべての商品を各国のAmazonに一括して出品できたわけではなかった。出品の可否には国ごとにばらつきがあり、例えば、ドイツではAというソフトを出品できても、イタリアでは出品できないことがあった。また、オランダやスウェーデンでは、そもそもゲームソフトの出品自体ができないように見受けられた。
販売しようとしていたのは、日本市場向けに発売された日本語版のゲームソフトである。北米では、すべての商品ではないものの、何とか出品できる余地はあった。一方のヨーロッパでは同じようにはいかず、こちらが出品したいものは9割は出品できなかった。
なお、スーパーファミコンは海外に展開される際、アメリカなどでは「SNES(Super Nintendo Entertainment System)」という名称になった。ゲーム機本体の形状だけでなく、カートリッジの形状も日本版とは異なっている。
本体やカートリッジの仕様は日本と海外とでは基本的には共通しており、カートリッジについては、形状が異なるためにそのままでは相互使用できないが、基板の構成が同じであるために、コンバーター(変換アダプタ)を間に嚙ませれば海外版のソフトを日本版の本体で動作させられる場合もあるようだ。
一方で異なる箇所もある。例えば、表示言語も少なくとも日本語ではないし(基本的には海外では英語がメイン言語だと思われる)、タイトルそのものも少なくとも英語圏では英語の語感に「ハマる」ようなものに変更されることもあれば、コントローラーのボタンも日本では凸の形状が海外では凹となっているとのこと。
考えるに、日本で販売されているスーパーファミコン用ソフトそのものは、海外の一般的なユーザーにとっては扱いにくく、現地で広く流通する商品でもない。同じパッケージジャケットであっても、日本版と海外現地で出回る海外版はある意味で別物と考えた方が良いだろう。あえて日本語版のソフトを欲しがるのは、海外のゲーム愛好家のなかでも、特に日本版にこだわる一部のマニアに限られるのではないだろうか。
個人的な感触としては、ゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・ゲームギアといった携帯型ゲーム機のタイトルはまだ海外で受け入れられている印象がある。その一方で、スーパーファミコンなどの据え置き型ゲーム機向けのソフトは、これまでの販売実績から海外ではあまり売れない傾向が個人的には強く感じている。
ちなみに少し余談にはなるが、任天堂のファミリーコンピュータ、いわゆるファミコンも、海外では「NES(Nintendo Entertainment System)」という名称で展開された。NESは、ゲーム機というよりも家電製品の延長線上にあるものとして位置づけられ、なおかつ外観も日本版のファミコンとは大きく異なっている。
例えば、ファミコンではROMカートリッジを本体上部から垂直に挿入するのに対し、NESでは本体正面の扉を開け、カートリッジを水平に挿入してから下に押し込む方式が採用されている。
この背景を説明すると長くなるのだが、簡単にまとめると1980年代初頭のアメリカではテレビゲーム市場の成長を見込んで、食品メーカーなどゲーム業界とは直接関係のない企業もゲームソフト市場に参入した。その結果、粗製乱造されたソフト、すなわちクソゲーが市場にあふれて消費者の信頼を失ったことで、アメリカのゲーム市場は大きな打撃を受けた。これが、いわゆる「アタリショック」と呼ばれる出来事である。
この事件からほどなくして米国市場でファミコンのシェアを広げたいと考えた任天堂はテレビゲームの取り扱いを敬遠する小売店に対して、「これはゲーム機じゃなくて、家電の一種です」というアピールをするためにROMを水平挿入する形状にしたそうだ。しかも、この形状のモデルとなったのは、当時徐々に家庭用として広まりつつあったVHSビデオデッキらしく、挿入する・下に押し込むという仕様はビデオテープを挿入する動作を参考にしているようだ。
閑話休題
ひとまず、日本の老舗ゲームメーカーであるカプコンのタイトルをいくつか、米国Amazonに出品してみることにした。選んだのは、スーパーファミコン版の『ストリートファイターII』と『ロックマン7』である。このほか、セガサターン用ソフトの『ヴァンパイアセイヴァー』も出品した。
メルカリやヤフオクであれば、これらの商品を出品する上で、普段は特に問題はなかった。しかし、Amazonのグローバルセリングでは、出品してからほどなくして、商品が出品停止になってしまった。
そして、後になって振り返ると、どうやらこの一連の出品停止が、最終的なアカウント停止につながった根本的な原因だったようなのだ。
では、アカウント停止の引き金となった具体的な原因は何だったのか。
どうやら、出品した『ストリートファイターII』『ロックマン7』『ヴァンパイアセイヴァー』が正規品であることを証明する書類を、指定された期日までに提出できなかったことが原因だったようだ。
なぜ米国のAmazonでは、正規品であることを証明する書類、いわゆる真贋確認のための書類の提出が求められるのだろうか。
その背景には、偽造品の流通を防ぎ、知的財産権を保護するとともに、消費者が安心して正規品を購入できるようにするという目的があるようだ。実際、Amazon.comの偽造品対策ポリシーでは、商品の真正性を確認するため、販売者に対して仕入れに関する記録や請求書などの提出を求める場合がある。提出できない場合には、販売資格の停止などの措置が取られる可能性もある。
私自身、こうした点については、日本のAmazonよりも米国のAmazonのほうが厳格という印象を受けた。
もっとも、日本のAmazonでも、商品やブランドによっては出品に一定の制限が設けられている。例えば、一部のCD・ゲームソフト・書籍などでは、出品するためにメーカーや権利者の許諾が必要となる場合がある。中古品であっても、商品やカテゴリーによっては自由に出品できるとは限らない。
私が知る限り、米国ではゲームに関する知的財産権、とりわけ商標権の扱いには注意が必要だ。
私が知る限り、アメリカにおけるゲームの知的財産権はまあまあ厳しいようで、例えば1987年に初代のストリートファイターがアーケードで登場しているが、米国ではアーケード版は名称はそのままであるものの、初の家庭用(PCエンジンのCD-ROM2版)では「ファイティングストリート」とタイトルを変更している。これは、1974年に米国のチャールズ・エイ・エイトン・カンパニーなる企業が、すでに「STREET FIGHTER」で商標登録を行っていたためだそうだ。ただし、現在ではカプコンが「STREET FIGHTER」の商標を買い取ったために、シリーズのII以降は問題なく、アーケード・家庭用を問わず使えているようだ(ちなみにニンテンドースイッチなどのカプコンアーケードスタジアムで原題の「STREET FIGHTER」のまま)。
ただ、これはゲームの内容というよりは商標権の問題なので、テレビゲームに限らず、さまざまな商品やサービスなどあらゆるものに適用されるようだ。
また、ゲームのシステムという点で、1991年リリースのストリートファイターIIを起爆剤として起きた世界的な対戦格闘ゲームブームの中で生まれた「ファイターズヒストリー」の訴訟がかなり有名だろう。いわゆる1994年の「カプコン対データイースト裁判」と呼ばれた訴訟事案である。
名作や怪作を出すことで知られた、今はなきデータイースト(2003年倒産)から対戦格闘ゲームとして「ファイターズヒストリー」がアーケードでリリースされるが、ストリートファイターIIとの模倣点が見られるとのことで、著作権侵害として日米両国でカプコンがデータイーストに対して裁判を起こしている。
データイーストもカプコンも日本の企業なのに米国でも裁判を起こしている理由は、提訴の当事者がカプコンの米国法人であり、カプコン米国法人にとってアメリカが当時ビデオゲームの一大マーケットとなっていたことから、同じく米国内で出回っていた「ファイターズヒストリー」が模倣品であり、著作権の侵害により米国内でのストリートファイターIIのセールスに影響が出ると判断したためとのこと。
最終的にアメリカでの判決は「類似点は著作権で保護されない」というような判断から、カプコンによる販売差し止め請求は棄却され、日本での係争も東京地裁からの和解勧告により終結したようだ(日本側での和解を受けて、米国側でも同様の措置となったとのこと)。
実はデータイーストはファイターズヒストリーを制作するにあたり、ストリートファイターIIの登場キャラをトレースしてファイターズヒストリーのキャラのドット絵を作っていたという話もあったようで、このために当たり判定もストIIなみにしっかりしていたらしい。
また、おそらく1994年当時係争中だったにもかかわらず、続編の「ファイターズヒストリーダイナマイト」が1994年にネオジオ用にリリースされており、翌1995年にはスーパーファミコン用に「ファイターズヒストリー ~溝口危機一髪!!~」が発売されているので、データイーストのスタッフ陣は、神経を使うベクトルが実は常人とは異なるのかなとも考えてしまう。
テレビゲームに関しては1992年に個人発明家がセガを訴えて勝訴した「コイル対セガ事件」があるが、テレビゲームをのみならず様々な分野で特許紛争が発生している。
いずれにせよ米国は訴訟社会であり、知的財産権についてもかなりうるさいので、米国Amazonも販売する側として偽造品を売ったことによって訴えられるリスクを避けるためにも神経を尖らせているのだろう。日本人から見て神経を尖らせすぎていると思っているだけで、実はAmazonアメリカにとって当たり前すぎて何とも思っていないかもしれないが。
閑話休題
米国Amazonから届いた書類提出要請のメールは、何を求められているのか、当時の私にはよく分からなかった。一応、日本語で書かれたメールではあったものの、その重要性を十分に理解できていなかった。
海外のAmazonでは、そもそも出品したい商品をなかなか出品できず、販売も思うように進んでいなかった。そんな状況だったこともあり、私はこの通知についても、それほど重要なものではないだろうと判断し、特に対応することなく放置してしまった。
実際、海外のAmazonでは商品をほとんど出品できず、売上も立っていなかった。事実上、稼働していたのは日本のAmazonだけだったため、海外のアカウントについては、しばらく放置しておいても問題ないだろうと考えていたのである。
こうした状況のなか、Amazon.co.jpから電話がかかってきたことがあった。
電話の相手は、明らかに日本語を母語とする人ではないように感じられた。日本語はややたどたどしく、中国語や韓国語を母語とする人に見られる話し方とも異なっていた。あくまで私の印象だが、東南アジアや西アジア出身の人に近い話し方のように感じた。
当時は仕事中だったため、「後でかけ直してほしい」と伝えた。ところが、相手によると、今回の電話はAmazonセラーセントラル内の特定の問い合わせ案件に紐づいており、同じ電話番号から改めてかけ直すことはできないといまいち納得のいかないことを言われた。電話口の相手が何を伝えたいのか、いまひとつ理解できなかったものの、折り返しができないというのであれば仕方がない。その場で話を続けることにした。
ただ、実際に話した内容は、本人確認に関することが中心だったと記憶している。少なくとも、当時の私には、特に重大な問題について話し合ったという記憶はない。
そして、2021年7月、Amazonから正式にアカウント停止の通知が届いた。
しかし、このときも私は、まったく意に介していなかった。ほとんど使っていないプラットフォームだったため、「別に構わないだろう」と考え、アカウントが停止された後も、特に対応することなく放置していたのである。
問題は、ここからだった。
海外Amazonのアカウント停止など、すっかり忘れかけていた2023年7月。今度は、その影響がAmazon.co.jpにまで及び、国内で利用していたメインのアカウントまで停止されてしまったのだ。
さすがに、これには一瞬、頭が真っ白になった。
いったい何が原因で、こんなことになってしまったのか。当時の私には、状況をまったく把握できなかった。
日本のAmazonに抗議し、アカウント停止の理由を開示するよう求めたものの、ほとんど取り合ってもらえなかった。運転免許証やマイナンバーカードを提示するなど、本人確認に必要と思われる対応も試みたが、状況は一向に改善しない。何をしてもまともな回答が得られない状態が続いた。
日本のAmazonアカウントについては、停止されるような心当たりがまったくなかった。そこで、グローバルセリングのアカウント状況を調べるとともに、過去にAmazonから届いたメールを見返してみることにした。
すると、アメリカ・カナダ・メキシコの各マーケットプレイスで、販売停止の措置が取られているらしいことに気付いた。
さらに、Amazonから届いたメールには、以前出品した『ストリートファイターII』『ロックマン7』『ヴァンパイアセイヴァー』のASINが記載されていた。そして、これらの商品について真贋を証明する書類を提出できなかったため、アカウントを停止したという趣旨の説明が書かれていた。
この3タイトルのうち、『ストリートファイターII』と『ロックマン7』は、もともと私物として所有していたものだった。当然、購入時の領収書など、仕入れを証明できる書類を保管しているはずもなかった。
こうなってしまっては、もはやどうしようもなかった。日本のAmazonに相談しても、「日本側のAmazonは米国のAmazonとは管轄が異なるため、対応できない」「それは我々の対応範囲外」と言われてしまうのだ。
しかも、問い合わせたのは一か所だけではない。複数のセラー向け相談窓口に問い合わせてみたものの、返ってくる回答はどこも同じだった。
日本のAmazonの担当者と電話で話していても、一般的な日本企業であれば期待してしまうような、担当部署の枠を超えた柔軟な対応は見られなかった。例えば、自分たちの部署では対応できない案件であれば、関係する部署に問い合わせたり、対応可能な窓口を案内したりすることも考えられる。しかし、私が経験した限りでは、そうした対応はなく、自部署の担当範囲を超える問い合わせについては、関与しようとしないように感じられた。
日本人の担当者が対応しているにもかかわらず、融通が利かないと感じる場面が続き、正直、開いた口が塞がらなかった。「何だ、この会社は?」と思わずにはいられなかった。
おそらく、こうした対応の背景には、Amazonという企業の組織体制や業務の進め方が関係しているのだろう。米国本社の方針に沿って業務が細かく分業化され、それぞれの部署が担当範囲を厳格に守る仕組みになっているのかもしれない。その結果、部署間で情報を共有したり、担当範囲を超えて柔軟に対応したりすることが難しくなっているのではないだろうか。
私には、そうした組織のあり方が、一番ひどいパターンの縦割り行政のように映った。
今回、停止されてしまったアカウントについては、そのまま放置し、新たにアカウントを作り直すことにした。新しいメールアドレスを用意し、商品登録も一からやり直したのである。
この時点では、もともと使用していたアカウント(停止されたアカウント)を今後使うことはないだろうと考えていた。しかし、アカウントが停止されている以上、自分で削除することもできず、結局、そのまま放置するしかなかった。ただ、登録済みの商品情報については、すべて削除しておいた。
気休めにしかならないことは分かっていたが、商品情報をすべて削除しておけば、アカウントの再開につながるのではないかと考えたからだ。もちろん、今振り返れば、その程度の対応で再開が認められるはずもなく、結局、何の変化も起きなかった。
Amazonの規約では、このように別のアカウントを新たに作成して運用することは禁止されている。そのため、新しく作成したアカウントも、わずか3か月ほどで停止されてしまった。
先ほど、停止されたアカウントは「このまま放置」したと書いた。しかし、実はその後、むしろ、停止されたアカウントを再開させたほうがよいのではないかと考えるようになった。
というのも、Amazon.co.jpの出品用アカウントには、取得した時期によって大きな違いがあるからだ。
2016年頃から、Amazonでは新規セラーの登録アカウントに対してCDの出品制限が設けられるようになり、新規参入者がCDを販売することはかなり難しくなった。聞くところによると、その背景には、主に中国人セラーによる海外製の海賊版CDの販売があり、著作権者側からAmazonに対して指摘が寄せられたことが関係しているらしい。
私の場合、結論から言えば、最終的にアカウントを再開することができた。ただし、CDの出品には以前よりも多くの制限がかかるようになっていた。それでも、少なくとも私のアカウントでは、CD出品の自由度は下がったものの、かろうじてCDを販売できる状態が維持されていたのである。
一度は諦めたアカウントの再開だったが、こうした事情を踏まえると、考えが変わくる。新たにアカウントを作り直し、CDを出品できない状態からスタートするよりも、多少の制限があったとしても、以前から使用していたCDを出品できる可能性のある停止中のアカウントを再開するほうが合理的なのではないか。そう考え直すようになったのである。
そこで、旧アカウントの復活に向けて、今後は次のような手順で対応を進めていくことにした。
① 海外Amazonのアカウントを閉鎖する。
② 作成から約3か月で停止されてしまった新しいアカウントを閉鎖する。
③ 以前から使用していたAmazon.co.jpの旧アカウントの復活を目指す。
今回の対応方針を考えるうえで前提となったのは、Amazon側が私のアカウントについて、次のように判断していると考えられたことだ。
一つは、規約違反の警告が出ている海外アカウントが存在するため、これに紐づく日本側の新アカウントも閉鎖したということ。もう一つは、同一人物が日本国内で複数の出品用アカウントを保有していること自体が問題視されている、ということだ。
つまり、海外アカウントにつられて日本の新アカウントが閉鎖となり、そして新アカウントがそもそも規約違反と言える二重のアカウント保持と呼べる行為であったため、これに連動して元々のアカウントの閉鎖という流れである。負の連鎖というか、ドミノ式で悪いことが続くとでも言えようか。
もちろん、これは当時の状況から私なりに推測したAmazon側の考え方であり、Amazonからそのような説明を正式に受けたわけではない。
いずれにしても、最終的な目標は、以前から使用していたAmazon.co.jpの旧アカウントを復活させることだった。そのためには、まず海外アカウントと新しいアカウントの問題を整理する必要があると考え、最終目標から逆算する形で、上記の手順を組み立てたのである。
アカウント再開に関して、ネット上で「停止・凍結・バンされたAmazonアカウントを回復させます」という内容のサービスを展開している業者が、無料相談を行っているという情報を見かけたので、ダメもとで相談してみた。
やはり、こちらの望んでいる回答をしてくれることはなく、その業者曰く、「謝り方」が大事そうで、「二度と問題を起こさないための再発防止策の報告を含めて、謝罪文(反省文)をいかにちゃんと書くか」が必要とのこと。
後述するのだが、アカウント停止が継続している理由は、何らかの形で先述のカプコンのタイトルのデータが削除されたにもかかわらず何らかのノイズデータが残ってしまっていることであり、最終的にこれを完全に除去できたことがアカウント復活の成功要因のひとつであったので、この業者の言っていることはやや見当違いである。
これまでに何度も身分証等の公的書類や商品調達時の領収書類を提出しても、「データのノイズ(削除すべき不要なカプコンタイトルの商品データ)」を削除したにもかかわらず、メールで定期的に、該当のカプコンタイトルが存在するためにアカウントを再開できないといった旨のメールが送られてきているからだ。
単純に「謝罪文」の書き方や有無ではなく、明らかに存在し得ないデータのノイズが悪さをしているとしか思えない。
データのノイズがある=出品してはいけない商品情報がいまだにAmazonの在庫データ上に存在していると誤認識されてしまっており、まずここから解決していかなければならないのではと感じていた。
なので、この業者を通しても、結局は高い料金を取られるだけで何も解決しないと直感的に感じ取り、少なくとも自分の知る範囲では誰も助けることができないと判断したため、問題解決に向けて自力で進めていくことにした。
Amazonメキシコにのみエラーとして警告が表示され、なおかつ「問題解決のためにヘルプデスクにコンタクト」とうメッセージが出ていた。本来であれば、同様の問題が発生しているとされる米国やカナダにも、同じような案内が表示されてもよさそうなものだ。しかし、なぜか米国とカナダのセラーセントラルの画面には、そのようなメッセージが表示されていなかった。その理由は、今も分からない。
とはいえ、アカウント停止の状態から復旧するためには、Amazonメキシコに連絡することが突破口になるのではないか。そう判断した私は、まずAmazonメキシコのヘルプデスクに連絡してみることにした。
メキシコの窓口なのだから、スペイン語での対応が必要になることは容易に想像できる。しかし、私にはスペイン語を使いこなせるだけの語学力はない。それでも、何としてでもアカウントを復旧させなければ意味がない。そう考え、あとでどうにでもなるだろうぐらいのつもりで管理画面に表示されていた「ヘルプデスクに連絡する」というボタンを押した。
当初、実はAmazonメキシコへの問い合わせは、それほど複雑な手続きではなかった。専用のフォームページに移動し、自分の連絡先などを入力するだけでよかったのである。
ところが、最初のコンタクトから数か月後になって、手続きの途中にクイズへの回答を求められるようになった。おそらく、スパム対策として、ボットによる自動送信を防ぐ仕組みが導入されたのだろう。
もっとも、クイズ自体はそれほど難しいものではない。例えば、「この中で帽子が写っているパネルをすべてクリックしてください」といった問題が出題される。もちろん、毎回帽子が対象になるわけではなく、カバンやカーテン、ソファなど、別の物を選ばせる問題もある。ただし、出題される物のバリエーションは、それほど多くなかった。
こうしたクイズに正解すると、問い合わせフォームに進むことができる。そこでは、氏名・国・連絡先・相談内容などを入力する。必要事項を送信すると、目安としては10分以内に、Amazonメキシコから電話がかかってくるという仕組みだった。
Amazonメキシコのスタッフとは、基本的に英語でやり取りし、自分の置かれている状況を具体的に説明した。そのうえで、「何らかのデータ上の不整合が発生しているようなので、これを解決してほしい。極力、日本語で対応できるスタッフから折り返し電話をかけてもらいたい」といった趣旨の要望を伝えた。
電話をかけてくるスタッフの中には、アメリカ人、あるいは英語を母語とすると思われる人もいた。おそらく、Amazonメキシコには、そうしたスタッフも在籍しているのだろう。いずれにしても、電話口に出るスタッフは英語で問題なくコミュニケーションを取ることができたため、言葉の面で大きな支障はなかった。
その後、Amazonメキシコには何度も連絡を取ることになるのだが、本当の苦労はここからだった。
前にも述べたように、私が経験したAmazonのサポート体制では、担当者が自分の担当範囲を超えて柔軟に対応してくれることは、ほとんど期待できなかった。また、特定の担当者が継続して同じ案件を受け持つ仕組みでもないようで、問い合わせるたびに電話口に出るスタッフが変わった。
そのため、連絡するたびに、それまでの経緯や問題の内容を一から説明し直さなければならなかった。こちらとしては、何とか問題を解決してほしい一心で何度も連絡しているのに、その都度、事情を説明するところからやり直さなければならないのである。
ひどいときには、「それ以上のことは、私の所属するチームでは対応できない」と言われてしまうことさえあった。
最初にAmazonメキシコへ連絡した際には、同社を通じて日本語で対応できるスタッフから折り返し電話をかけてもらい、今回の問題について相談した。
その際、中古品を仕入れて販売しているのであれば、その仕入れの実態を証明できるようにしておく必要がある、という話になった。具体的には、取引先との契約書や請求書など、商品の仕入れを裏付ける書類を提示できる状態にしておく、ということだった。
そこで、契約書を締結してくれる業者がないか、インターネットで探してみることにした。すると、〇ックオフの某店舗と契約書を締結できるという情報を見つけた。
早速、その店舗に直接問い合わせてみたところ、基本的には、段ボールに入った書籍を木製パレット単位で買い取ることが条件だという回答だった。
しかし、そこまでして大量の古本を仕入れるつもりはなかった。内容によっては、販売するどころか、処分に困るような本が含まれている可能性もある。そんな商品を大量に買い取っても、こちらとしては困るだけである。
結局、この〇ックオフの店舗と契約を締結することは諦めた。契約書を一枚用意するためだけに、パレット単位で積まれた大量の古本を購入しなければならない。いくらアカウントの復旧がかかっているとはいえ、使い道のない本まで大量に買わされるのでは、さすがに割に合わない。何とも高くつく話である。
その後、ほかにも契約書を締結してくれそうな業者がないか探してみた。すると、関東地方の某所でリユース業を営んでいる人物と、メールで連絡を取ることができた。その方に事情を説明したところ、協力会社として、別の業者を紹介していただいた。
最終的に、その業者との間で契約書を作成し、締結することができた。さらに、実際に商品も購入させてもらい、その取引について領収書と納品書も発行していただいた。
この業者とは、現在でも一応取引が続いている。仕入れ先としても、それなりに良い商品を調達できているので、結果的には、この業者を紹介していただけたことは良かったと思っている。
こうして必要な書類をそろえ、契約書に加えて領収書と納品書も提出し、改めてAmazonに再審査を申請した。
しかし、事前の準備にかなりの時間をかけ、手間暇をかけて書類をそろえたにもかかわらず、残念ながら審査結果は再び不承認だった。
しかも、Amazonからは、提出した書類の何が問題だったのか、なぜ審査に通らなかったのかについて、具体的な説明は一切なかった。
2回目の問い合わせでも、再びAmazonメキシコを通じて、日本語を話せるヘルプデスクの担当者から電話をかけてもらった。
ただし、今回の担当者は、日本語を話せることは話せるものの、名前からすると欧米圏の男性と思われた。発音の癖もあったのか、話し方には少し聞き取りづらいところがあり、声もぼそぼそとしていて、内容を理解するのに苦労した。
この担当者に対し、私は「中古品を取り扱う業者と締結した契約書や、その業者から商品を購入した際の領収書などを提出するようアドバイスされたが、再審査には通らなかった。いったい、どうすればよいのか」と相談した。
すると、担当者からは、過去に比較的知名度のあるメーカーから商品を仕入れ、その際に発行してもらった領収書を提出したところ、審査に通った事例があるという話があった。そのうえで、ソニーや資生堂といったメーカーから商品を仕入れてみてはどうか、と提案されたのである。
確かに、ソニーのような大手メーカーから発行された領収書があれば、商品の仕入れを証明する書類として、一定の説得力があるのかもしれない。しかし、実際にそれを試すとなると、いくつかの問題があった。
まず、ソニーのような総合家電メーカーから商品を仕入れようとすれば、商品単価が高くなりがちだ。アカウントを復旧させるためだけに、必要以上の資金を投入するのは難しい。
一方、もっと安価な生活用品(洗剤・歯磨き粉・ティッシュペーパーなど)であれば、商品を仕入れること自体は比較的容易かもしれない。しかし、そうした商品について、そもそも領収書を発行してもらえるのかという問題もある。私の認識では、その手のメーカーが個々の小規模な販売業者に直接商品を卸すケースは限られており、取引できるとしても、一次問屋ではないと難しいのではと思った。
さらに、もう一つの候補として挙げられた資生堂についても、私には大きなハードルがあった。そもそも化粧品を使う習慣がなく、化粧品についての知識も、商品を仕入れるための基礎情報もほとんど持ち合わせていなかったからだ。
こうして考えてみると、担当者から新たな方法を提案してもらえたとはいえ、実際に取り組むには、資金面でも商品知識の面でも、私にとって不利な条件が多いように感じられた。
どのようなメーカーであれば領収書を発行してくれそうなのか、私はあれこれ考えてみた。食品や日用品はもちろんのこと、普段の生活ではまず使うことのない工具や金具、機械部品なども候補に挙げた。
いろいろと思案した末、まずは領収書を発行してくれそうなメーカーを片っ端から調べてみることにした。すると、〇レコムが自社のオンラインストアで領収書を発行できることが分かった。
そこで、〇レコムのオンラインストアで、ひとまず適当な商品を購入し、領収書を発行してもらった。これで審査に必要な書類を用意できたと考え、2度目の再申請に際して、その領収書をAmazonに提出した。
しかし、今回も審査には通らなかった。
Amazonから指示された契約書や領収書を用意し、提出したにもかかわらず、何度申請しても審査に通らない。さすがにおかしいと思い、私は再びAmazonメキシコを通じて、日本語を話せる担当者につないでもらうことにした。
これまでの経緯を説明し、Amazonから指示されたとおりに必要な書類を揃えて申請しているのに、何度も審査に落ちるのはおかしいのではないか、と伝えた。すると、今回の担当者も、さすがにこれは通常の対応とは思えないと感じたようで、迅速に対応してくれた。
迅速に動いてくれたこと自体はありがたかった。しかし、ここまでの経緯を振り返ると、そもそもAmazon内部で担当部署が適切に処理していなかったのか、あるいは部署間で必要な情報が正しく共有されていなかったのではないか、という疑念を抱かざるを得なかった。
その後、提出書類が正式に受理されて、ようやく停止されていたグローバルセリングアカウントを復活させることができた。
結果だけを見れば、〇レコムの領収書や、以前提出した契約書などの書類を提出した段階で、すでにアカウント停止を解除できる状態になっていたのではないかと思えてならない。それにもかかわらず、実際には何度も申請を繰り返し、担当者に相談するまで解決しなかった。
もちろん、Amazon内部で実際にどのような処理が行われていたのか、私には知る由もない。ただ、書類を受け取る部署から審査を担当する部署へ、必要な情報が適切に引き継がれていなかったのではないか。あるいは、提出済みの書類が審査担当者に正しく認識されていなかったのではないか。そう考えたくなるほど、今回の対応には疑問が残った。
無事にグローバルセリングアカウントを復活させることができた後、私は各国のマーケットプレイスのアカウントを一つずつ閉鎖していった。この作業自体は、淡々と閉鎖手続きを繰り返していくだけだったため、特に苦労することはなかった。
最終的には、Amazonアメリカのアカウントを最後に閉鎖し、グローバルセリングアカウントを完全に整理することができた。
これによって、停止されていたAmazonジャパンの新しいアカウントも無事に再開できるようになったため、こちらもすぐに閉鎖した。そして、新しいアカウントを閉鎖したことで、ようやく以前から使用していた元のアカウントを再開できる運びとなった。
元のアカウントが再開されたのは、2025年8月のことだった。停止されてから約2年。Amazonで販売を続けてきたセラーにとって、この期間はあまりにも長かった。
今回のトラブルを通じて痛感したのは、海外Amazonで販売するのであれば、そのリスクや各国のマーケットプレイスの運用方針を十分に理解したうえで、販売戦略を立てるべきだということだ。
そもそも、AmazonジャパンとAmazonアメリカでは、中古品の取り扱いや商品の真贋確認に対する運用が異なる。これまでの経験から、特にAmazonアメリカでは、商品の真贋を証明する書類を求められたり、要求に対応できない場合にアカウントが停止されたりするリスクが高いと感じた。
また、ゲームに限らず、高級ブランド品やアパレル、電子機器、カメラ、本、DVDなども、商品のカテゴリーや状況によっては、仕入れ先や商品の真正性を証明する書類の提出を求められることがあるという。こうしたリスクを十分に把握しないまま海外Amazonで販売を始めると、商品を出品できなくなるだけでなく、場合によってはアカウントそのものが停止され、販売活動全体に支障をきたすおそれがある。
では、海外に販路を広げたい場合、Amazonを利用するのが最善なのだろうか。
私としては、必ずしもそうとは限らないと考えている。海外販売を始めるのであれば、あえてリスクの大きいAmazonだけに依存する必要はない。たとえば、eBayやShopeeといったマーケットプレイスを活用する方法もあるし、Shopifyを利用して自社のオンラインストアを構築する方法もある。さらに、独自の海外向け販売サイトを立ち上げるという選択肢も考えられる。
もちろん、それぞれのプラットフォームにも独自の規約やアカウント停止のリスクがあり、自社サイトを運営する場合には、集客や決済、物流などを自分で整える必要がある。そのため、Amazonを利用しなければリスクがなくなるというわけではない。
それでも、販売先を複数に分散させておけば、特定のプラットフォームでアカウントが停止された場合の影響を抑えやすくなる。また、販売手数料や運営コストを比較し、自分の取り扱う商品や販売規模に適した販路を選ぶことも重要だ。
今回の経験を踏まえると、海外販売においては、Amazonを最初から唯一の選択肢とするのではなく、ほかのプラットフォームや自社サイトも含めて検討するほうが、リスク管理の面でも合理的なのではないかと思う。